あなたにとって”よさこい”とは?
——こう問われた時に、自分なら一体どう答えるだろうかと考える。
自分にとって”よさこい”とは。楽しいもの。笑顔になれるもの。趣味。特技。サークル。
正直詳しく考えたこともないし、自分にとって”よさこい”ってなんなんだろう、、、
この問いの答えは存在しないはずで、ある意味究極の問いだと思う。
よさこいやー(よさこいをしている人のことをこう呼ぶことがあります)の数だけ答えがあり、どれも本当に素晴らしいもの。
今回は”立教大学よさこい連”の創設者にして初代代表の及川信一さんにインタビューした後編。
よさこい好きは日本全国、今や世界中に数多くいれど、チームを立ち上げたという方はかなり限られてる。
そんな彼にとって”よさこい”とはなんなのか、今後の人生において”よさこい”がどういった立ち位置になっていくのか。
彼の力強い言葉の数々は、yosari編集部にとっても勉強になることばかりだった。
前回の記事をまだ読んでいないという方は、まずはそちらからチェックしてみてください。
時間×気持ち=思い出 | ”立教大学よさこい連”代表及川信一さんにインタビュー【前編】
被災地の現状を見たとき、衝撃が走りました。こんなにも静かなんだって。
——「ふくろ祭り東京よさこい」に出場されるということですが、その後のビジョンなどはありますか?
及川さん
ひとまずはふくろ祭りに向けてって感じなので、”立教大学よさこい連”としての活動はまだって感じです。笑
でもたくさんの仲間が集まってくれていて、ようやく形にもなって来て、この繋がりを大事にして行きたいなって思います。
——仲間、そして繋がりを大事にする、大切なことですね。
及川さん
”立教大学よさこい連”としてと言うか、ここからは僕個人の話になってしまうんですけど、今年の8月に父親の実家がある宮城県の南三陸町に久々に帰省したんです。
——あの、震災の。
及川さん
そうです。でも東日本大震災からはもう7年も経っているということで、行くまではさすがにもうだいぶ復興しているだろうなと思っていたんです。
ですが被災地の現状を見たとき、衝撃が走りました。
まだ震災の爪痕は至る所に残っていて、復興のための工事もあちこちで行われていました。それが一向に終わる気配もなかったですし、人通りもかなり少なくて、町にはコンビニもなくて。
活気とか元気みたいなものがほとんど感じられなかったんです。
正直驚きました。こんなにも静かなんだって。
僕の父親の姉の旦那さんは震災による津波で亡くなってしまったのですが、残された父親の姉は一人で2年前まで仮設住宅で暮らしていて、今でも集合住宅で暮らしています。
そこもかなり寂しそうな雰囲気が漂っていました。
及川さん
僕はよさこいを初めてまだ3年ですが、ありがたいことに賞をいただけたり、みんなでそのために練習をしたりもして来て、確かに楽しかったんです。
でもそういった被災地の現状を見た時に、僕が取り組んで来たよさこいで何か元気を与えられたらなって思いました。
なので”立教大学よさこい連”として、そして僕個人とても今の夢は、そういった方達に元気を与えられるような演舞が出来るようになることです。
被災地で復興演舞のような、そういったものが出来たらなって思っています。そしてたくさんの人にもっと笑顔になって欲しいです。
夢は大きく、口に出してみたら人生は変わる。
——被災地での復興演舞、本当に素晴らしい考えだと思います。よさこいって戦後復興の意味合いも込めて発祥しましたし、本来そうして元気を届けるという役割もありますもんね。
及川さん
そうですよね。よさこいは自己満だけで終わるのは本当に勿体無いと思います。
及川さん
そういったことも全て、夢を口に出してみたら変わりました。
今回のチーム結成もそうですけど、被災地でのこともこういうことがしたいんですって発信していたら、総長から立教大学のプロジェクトで岩手県の陸前高田市に行ってみないかって話が持ち上がったんです。
まだ具体的には決まっていないですが、もしかしたら叶うかもしれないです。
——すごい、さすがのスピード感ですね。夢を口に出すということですが、そうなるきっかけなどはあったのですか?
及川さん
僕はよさこいは外部でやっていたので、大学生としては3年生になるまで普通の大学生でした。
でも、3年生になった時に大学生活が後2年しかないんだって気付きました。何かしなくちゃ、何か残したいって思ったんです。
その時動き出すっていっても具体的に何からすればいいか分からなかったんですけど、とにかく将来の夢を口に出してみることから始めてみました。自分もやらなくちゃって思えると思って。
そうしたらよさこいチームを作りたいって言っていた僕の元にその話が舞い込んで来て、仲間も集まって、実現したんです。
復興演舞の話も口に出していたら実現に近付けましたし、口に出すことって本当に大事なんだなと。
どんなに大きな夢でも口に出してみるだけで人生は変わります。
池袋、被災地、日本、そして世界。多くの人に笑顔と元気を届けたい。
——最後に、ずばり及川さんにとって”よさこい”とは何か教えてください。
及川さん
はい。難しいですね(笑)
でも”よさこい”って、見ている人に笑顔と元気を届けられるものだと思います。
及川さん
僕は笑顔で踊るのが好きなんですけど、同じ踊りでも”よさこい”にはダンスとかにはないものがあると思います。
——すごくわかります。
及川さん
やはり僕が意識していることで「時間×気持ち=思い出」と言う考えがあります。
これは本当に大切で、どれだけ時間や気持ちを込めたかで本人たちから出る熱も違いますし、そういった人たちが踊っている姿を見れば、より大きな感動や幸せだなって気持ちを感じることが出来ると思うんです。
なので僕は大好きな”よさこい”で多くの人に笑顔と元気を届けたいです。
そのために僕はたくさんの時間をかけて、気持ちを込めて”よさこい”と向き合って行きたいです。
夢は大きく、まずは池袋から始まり、被災地での復興演舞、そして日本、最後は世界中の人たちに届けられたらなって思います。
——立教大学によさこいサークルが出来るらしい。
その話を聞いた時僕は居ても立っても居られなくなり、今回yosariとしても初めての試みとしてインタビューを行うことが出来た。
yosariも”立教大学よさこい連”もお互い初年度同士。どこかシンパシーのようなものを感じていたが、初めて練習を見学させていただいたときに抱いた印象は、これが本当に初年度のチーム?という衝撃。
確かに人数は他のチームに比べたら少ないし、まだまだ踊りのクオリティが凄く高いとは言えないかもしれない。
しかしほぼみんなが初心者だからこそ、お互いに出来るところは褒め合い、出来ないところは補い合う。チームとしてだいぶ完成されていると感じた。
この取材からは少し時間が経過してしまい、気付けば”立教大学よさこい連”の初陣である「ふくろ祭り」ももう目前に迫っている。
一度学内でお披露目の機会があった際にお手伝いという形で見学させていただけたが、取材からたった2週間足らずの間にもさらに成長しており、その演舞を終えた後の彼らの表情はより一層引き締まったものになっていた。
日々加速度的に成長を続けている彼らが「ふくろ祭り」本番でどういった姿を見せてくれるのかが非常に楽しみである。
しかしこれだけは間違い無く言えることは、”立教大学よさこい連”、そして及川信一という存在が今後のよさこい界に及ぼして行く影響は計り知れないということだ。
立教大学よさこい連 ふくろ祭り東京よさこい 演舞スケジュール
演舞スケジュール | 10月7日(日) 12:06 みずき通り会場 13:42 西口公園会場 15:06 アゼリア通り会場 16:24 四商店街会場 18:12 駅前メイン会場 |
Text by 矢野倉司(@tsukasa_43ri)
Photo by 坂本陸(@RIKU266)