——「にいがた総おどり」なのか「新潟総踊り」なのか「にいがた総おどり祭り」なのか。
そのような質問をたまにされます。
かくいう私も、どれが正しいのかは分かりません。
しかし、ここ最近のポスターやスタッフのTシャツを見ると
「NIIGATA SOH ODORI」
と表記されています。
私は、この表記には様々な想いが込められているのだと、そして、これからのこの祭りの在り方が示されているのだと感じています。
この祭りで「踊り」と出会うということ。
私がこの祭りに出会ったのは小学校1年生。ちょうど第1回が開催されたタイミングでした。
詳しくは覚えていません。
しかし、私の部屋にはその時の物販ブースで買った鳴子が今でも飾られています。そして記憶の片隅には、観客席で買ってもらったばかりの鳴子を振りながら、祭りを見ていた映像が残っています。
それから17年が経ち。
気付けば、毎年欠かさずこの祭りを見に行っていた子どもは、観客席から万代十字路にその場所を移し、ただただ、がむしゃらに踊っていました。
今でも不思議な感覚です。踊っているときなどはさらに。いつの間にか自分も踊る人間になっていました。
しかし、これこそがこの祭りの特徴であり、醍醐味なのだと思います。
「お客さんと踊り子の距離がとても近い。」
県外から参加するチームさんからよく聞く言葉です。この祭りは特別なステージを作るわけではなく、ただ街中で踊るという形をとっています。
道路や商店街、駅前のちょっとした広場。
また、観客席と踊るスペースの境となる柵もほぼありません。
よって、祭りを観に来たわけではない人が横を通り、ちょっと手を伸ばせば踊り子に触れることもできます。
これらの物理的環境が、観客と踊り子の心の柵も取っ払い、物理的にも心理的にも観客と踊り子の距離をより密接したものにさせ、会場全体をひとつにしているのだと感じます。
そしてフィナーレプログラムの「総踊り」。
私自身、様々なお祭りに参加したり観に行ったりしてきましたが、この祭りの「総踊り」は次元が違います。
踊り子だけではない。
スタッフも、観客も、たまたまそこにいた人も。みんなが万代十字路という、普段当たり前に歩いている道路に、踊るためだけに集う。
「あちらの人も こちらの人も 心踊れば皆同じ」
– 総踊り楽曲『まほろば』より
この異常な近さが「次は僕も。私も。」と観客を「観る場」から「踊る場」へと誘う一つの要因なのかもしれません。
そして、かく言う私も、この「魅力」に誘われた一人ということなのです。
——ただ踊れ。Just Dance!
今年のにいがた総おどりの一番のトピックといえば「花鳥風月プロジェクト」であったと思います。
2015年の響’連(にいがた総おどりホストチーム)の演舞曲「華」から始まったこのプロジェクトは
2016年の「鳥」
2017年の「風」
そして今年2018年の「月」でついに完結しました。
今年はこれら「華」「鳥」「風」を日本各地から有志で集まった個人参加の皆さんに響’連準会員として踊ってもらい、響’連は「月」を踊り、「花鳥風月プロジェクト」の全貌を披露しました。
本祭初日のフィナーレ。
「花鳥風月プロジェクト」に参加する全踊り子が、メイン会場で演舞する直前に待機場所に集まりました。
その時の光景を、祭りが終わって3週間が経った今でも覚えています。
その場でこの楽曲たちの作曲者である松浦晃久さんが私たちに掛けてくれた言葉が、
「ただ踊れ。Just Dance!」
でした。
その場には本当に様々な人が集まっていました。
子ども、大学生、社会人、親子
新潟市内の人、新潟市外の人、新潟県外の人
他チームで踊りつつ、このプログラムに参加する人
このプログラムで初めて踊りに挑戦する人
そのような人たちが、様々な想いをもってその場にいました。
しかし、そんなことは関係ない。ここに集まった私たちはひとつになって共に踊る仲間だ。
——ただ踊れ。Just Dance!
私は踊り子になって8年目。
改めて、ただ純粋に踊るということだけで頭をいっぱいにすることができました。
そのような中で迎えた花鳥風月。
最初の楽曲「華」のイントロが聞こえたと思ったら、いつの間にか私は「月」を踊り終え、会場中からの拍手の中、ともに踊った仲間たちと礼をしていました。
ああ。ただ純粋に踊るということがこんなにも心地よいものだったのだな。
拍手の中、私はそんなことを思っていました。
この祭りの参加条件はたったひとつ。
「心を込めて、踊ること。」
そして今年のポスターに書かれていたキャッチコピーは、
「踊れ 新潟」
どこまでも、純粋に「踊る」ということを突き詰めることができた今年であったと、私は振り返ります。
そしてNIIGATA SOH ODORIに。
——次世代を担う若者たち・子どもたちのために、感動ある世の中をつくる。
——千年続くお祭りを。
このような想いで、この祭りは創られてきました。
そして、これまでのにいがた総おどりは「黎明期」であったと実行委員のある人は言いました。
これから先のこの祭りはいよいよ、その込められた想いを実現すべく、発展期に入っていくのではないでしょうか。
その表れのひとつとして、「にいがた総おどり」の英語表記であると私は考えています。
初期の「よさこい」の色が強く出ていた祭りから
誰もが自由に踊ることを、より広く受け入れる祭りへ。
きっとこの祭りは、もっともっとたくさんの人が集い、様々なジャンルの踊りで溢れる「踊りの祭典」となっていくことでしょう。
どうぞ、この「NIIGATA SOH ODORI」に一度お越しください。
ここには「踊る」ということの本当の魅力というものを感じるヒントがあると自負しています。
ともに新潟の地で今この文を読んでいる貴方と踊ることが出来る事を願い、もう一度あの言葉を記して終わりにします。
ただ踊れ。Just Dance!
・にいがた総おどり 公式HP
・にいがた総おどり Twitter
・にいがた総おどり Facebook
Text by 元・にいがた総おどり実行委員会
ぶーちゃん – 風間学(@bumbum7863)
Photo by 坂本陸(@RIKU266)
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