”世界一笑え”
——この言葉を聞いて、あなたは一体どんな姿を思い浮かべるだろうか。
「法政大学YOSAKOIソーランサークル鳳遙恋」は今年度で16代目になる関東の学生よさこいチーム。
鳳遙恋は毎年、1年間チームを運営していく3回生たちが中心となって代のテーマを掲げており、2018年度の3回生である16代目が掲げたテーマは”世界一笑え”。
「笑顔」「元気」「声」そして「学生らしさ」を大切にしている鳳遙恋らしい代による鳳遙恋らしいテーマと言えます。
そんな彼らが昨年から制作を続けてきた2018年度演舞「千妖神樂(ちよかぐら)」が、8月3日から5日の三日間に渡って埼玉県朝霞市で行われた第35回彩夏祭においてお披露目となりました。
”世界一笑え”というテーマにふさわしい、世界で一番「笑顔」溢れる演舞を自信満々に見せてくれた彼ら。
そんな彼らの大切な演舞「千妖神樂」の初お披露目の様子を、多くの写真と彼らの「笑顔」と共にレポートとして残しておきたいと思います。
”世界一笑え”に込められた想い。

彼らが1年間チームのテーマとして掲げた言葉”世界一笑え”。
その言葉にふさわしいような演舞「千妖神樂」は踊り子たちの笑顔が眩しいくらいに輝いています。
しかし、彼らがこの”世界一笑え”という言葉に込めた想いは決して踊り子中心の考えではないでしょう。
彼らは、彼ら自身が”世界一笑う”ことで、見ている人も一緒に「笑顔」になって欲しいという想いを持っているのではないでしょうか。
それが最大限に表現されているのが「千妖神樂」という演舞です。
その通り、彼らが踊っている姿を見ていると、こっちまで思わず笑顔になってしまうようなエネルギーを感じました。

よさこいを踊って楽しんでいる人を見て、それをどう思うかはその人次第かもしれません。
しかし、真夏の炎天下の中でも笑顔で踊っている彼らを見ていると、日頃の疲れもこの夏の暑さもどこかに吹き飛ばしてくれるような爽快感がありました。
常に見てくれている人のことを考えているからこそ、自分たちの「笑顔」が持つ力を知っている彼ら。
そんな”世界一笑う”彼らの「笑顔」によって、それを見たたくさんの人々も「笑顔」になって行く1年間となるのかもしれません。
彼らの想いとその無限大の可能性を強く感じさせてくれました。
お披露目にふさわしい緊張感とそれを力に変えるような声。

今年で16代目になる鳳遙恋ですが、毎年新しい演舞を制作しています。
2018年度演舞となった「千妖神樂」も例年のごとく彩夏祭でのお披露目となりました。
新しいものを世に放つ時は人間誰しも緊張するもの。
ましてやそれが自分たちが制作してきた演舞で、周りからも期待されている中となるとより一層強く感じていたことでしょう。

MCによる掛け声で演舞が始まる構えのポーズを取る踊り子。
(「千妖神樂」という演舞にふさわしく陰陽師をイメージしたそうです。)
音がなるまでの数秒間、辺りを静寂が包む。
自分の心臓の音、仲間の息遣い。
見ているこちらも息を飲むような雰囲気がそこには漂っている。
構える彼らの真剣な眼差しや表情は、なんの迷いもなくただ一点だけを見つめていました。
それはおそらく今まで練習を積んできた日々や、この演舞に対する想いからだったのかもしれません。
しかし、その目は力強く自身に満ち溢れていて、これまでの彼らの努力を雄弁に物語っていました。

そんな彼らの緊張感をも力に変えていたのは「声」でした。
鳳遙恋が大切にしているのはしきりにご紹介している「笑顔」のみならず、演舞中に出す「声」もそのうちの一つです。
見ている人に届ける「声」。
自分を奮い立たせる「声」。
そして、共に踊る仲間を鼓舞する「声」。
様々な「声」がそこには存在し、一体感を生み出していました。
彼らが演舞中に出す大きな「声」には、「笑顔」と並んでやはり強い力があります。

ある人からしてみれば、それはただのうるさい雑音なのかもしれません。
学生がただ楽しんで騒いでいるだけと思われても仕方の無いような爆音です。
しかし、彼らの出す言葉にならないその「声」には、確かな「想い」が込められていました。

大学生というのはなんとも難しい時間であり、自分の学生時代を振り返ってみても、子供と大人の狭間でもがき苦しんでいたことがありました。
しかし、そんな学生である彼らにしか表現できないこともたくさんあります。
ここまで大きな「声」を出して真剣に、そして「笑顔」で踊ることが出来るのは、学生の持つ特権なのかもしれません。
どのチームよりも良い意味で「学生らしい」彼らは、とてつもないエネルギーを見せてくれました。
彼らのこの平成最後の夏の経験は、きっと将来の力になると信じています。
「みんな」で背負う誇り。

鳳遙恋をはじめ多くの学生よさこいチームはその年ごとに運営体制が変化しますが、チーム内に様々な役職が存在し、一人一人がその役割をこなすことで運営されています。
その中でも重要な役職に就く人もいれば、パンピーと呼ばれるただのメンバーとして関わる人まで様々です。
また、演舞の制作においても、振りを作る人・曲を作る人・衣装を作る人と細かく別れています。
しかし、運営する人だけでもチームは活動できませんし、制作する人だけでも演舞は完成しません。
「みんな」で活動し、「みんな」で踊ることでようやくチームは一つとなります。
130人というたくさんのメンバーがいるからこそチームは成り立ち、色が出てきます。
一人一人の考えや想いは違えど、「みんな」の想いは一つに。

彼らの衣装の背中にデザインされた”鳳”の文字には、彼らが背負う誇りが表されていました。
しかし、一人がそれを背負っているわけではありません。
「みんな」の衣装に”鳳”の文字があるのは、その誇りを「みんな」で背負っているということではないでしょうか。
”世界一笑う”16代目鳳遙恋による鳳遙恋らしい演舞「千妖神樂」。
そして鳳遙恋というチームがこれからも遙かに続いていくように。
見ている人を「笑顔」にし、思わず恋してしまうようなチームになって欲しいという願いを込めて。
——これからも、どこまでも、”世界一笑え”。
【公式】鳳遙恋2018『千妖神樂』 彩夏祭1日目/北朝霞グランドステージ
「法政大学YOSAKOIソーランサークル鳳遙恋」公式HP
「法政大学YOSAKOIソーランサークル鳳遙恋」公式YouTubeチャンネル
「法政大学YOSAKOIソーランサークル鳳遙恋」公式Twitter
Text by ヤノクラツカサ(@ynkrrrrrrr43)